MicrosoftとOracleが協業 双方が目指す未来(1/2 ページ)

クラウドベンダーの協業が進む。日本マイクロソフトと日本オラクルも協業を発表したが、これによって何が実現されるのだろうか。また、協業の背景と双方が目指す目標を聞いた。

» 2023年02月09日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 日本マイクロソフトと日本オラクルは2022年2月7日、「オラクルとマイクロソフトが共に描く、マルチクラウドの新潮流 〜最適なビジネス・インフラを実現する新たなデファクトへ〜」と題し、ブリーフィングを実施した。同ブリーフィングでは「マルチクラウドを活用した基幹系システムの移行促進」を実現するために、両社の協業の理由と何を実現するのかについて語られた。

MicrosoftにとってのOracleの価値

岡嵜 禎氏

 日本マイクロソフトと日本オラクルの協業がユーザーに対してどのようなインパクトを持つか――。この疑問に対し、日本マイクロソフトの岡嵜 禎氏(執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長)は、Microsoftの理念である「地球上の全ての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする」を強調し「今回の協業を経て、ユーザーにより多様な選択肢を提供できます」と見解を述べた。

 協業の具体的な内容について、岡嵜氏はまず、現在のマルチクラウドの国内市場動向について以下の図1を示しながら以下のように話した。

図1 マルチクラウドの国内市場動向(出典:日本マイクロソフト提供資料)

 「(図1)左上のグラフを見ると、多くの企業が複数のクラウドを利用していることが分かります。その理由としては『コストの最適化』『システムやアプリケーションごとに最適なクラウドが異なる』といった背景があり、それぞれのクラウドを組み合わせることでユーザーはメリットを感じています」(岡嵜氏)

 一方で、図1の下部のグラフを見ると、2年後に向けて多くの企業が「クラウドの統合管理」を目指していることが分かる。この点に関して岡嵜氏は「Microsoftは3つの観点でユーザーの要望に応えています」と自信を見せる。

 同氏が挙げた3つの観点。1つ目が「データ」だ。Microsoftはさまざまな場所に存在するデータを統合しながらも、データガバナンスを適応するソリューションを持っていると、岡嵜氏は説明した。

 2つ目は「マネジメント」だ。Microsoftはマルチクラウドとオンプレミスの管理プラットフォームに一貫性をもたらすために「Azure Arc」を提供しており、岡嵜氏は「エッジやオンプレミス、異なるクラウドといったさまざまな環境で動作する仕組みで、統一された運用管理を実現している」とした。3つ目が「インフラストラクチャ」だ。Oracleとの協業は主にこのインフラストラクチャの観点で大きな意味を持ち、同氏は以下のように発言した。

 「Oracleが提供している『Oracle Cloud Infrastructure』(以下、OCI)とMicrosoftの『Microsoft Azure』(以下、Azure)を密につなぎ合わせることが今回の協業の目的です。シームレスに双方のサービスを連携させ、ユーザーの柔軟なシステム構築を実現します」(岡嵜氏)

図2 Microsoftの包括的なアプローチ(出典:日本マイクロソフト提供資料)

 岡嵜氏が言及した「AzureとOCIのシームレスな連携」は具体的に何を実現するのか。

 今回の協業によって、例えばOracleが提供するデータベースにAzure上のSaaSやPaaSといったアプリケーションからシームレスにアクセスできるようになる。岡嵜氏は「クラウド移行はもちろん、ユーザーのデータ活用がスピーディーになることは間違いないでしょう」と話す。

 同氏は、このシームレスな連携について「ファーストパーティレベルで実現している点が重要です」と強調した。ファーストパーティ同士の協業だからこそ、サポートやそれぞれのナレッジを活用できるという理由だ。

 「開発レベルからユーザーをサポートすることでき、ユーザーの利便性を高めることが可能です。また、それぞれが持つ強みをユーザーは享受できます」(岡嵜氏)

 ユーザーにとっては、両社のエコシステムを活用できるようになる点も利点だ。

 「それぞれがもつエコシステムをユーザーが活用できれば、クラウドマイグレーションやクラウドイノベーションを推進できます」(岡嵜氏)

図3 OracleとMicrosoftの協業(出典:日本マイクロソフト提供資料)
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